綾敷と綴る艦隊手記

ちょっと考えたことなどを書き留めておく場所です。

カテゴリ: 考察系

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2023年5月中旬~8月上旬に行った対潜命中検証のまとめです。
調べるにあたって思考していたことを残しておくために記事を書きました。



【目次】
おことわり
背景
検証1 1-6-Eマス 対潜命中調査(電探なし)
 検証1 ~内容~
 検証1 ~結果~
 検証1 ~考察~
  発煙数と命中率の関係について
  補正位置と補正量について
  検証1における考察のまとめ
検証2 1-6-Eマス 対潜命中調査(電探あり)
 検証2 ~内容~
 検証2 ~結果~
 検証2 ~比較と考察~
  Fletcher改 mod.2 の比較
  吹雪改二・綾波改二・敷波改二の比較
  夕張改二特 の検討
  検証2における比較検討のまとめ
検証3 1-6-Eマス 対潜命中調査(電探あり・追試)
 検証3 ~内容~
 検証3 ~結果~
 検証3 ~比較と考察~
  可能性1: 煙幕係数自体が変わっているパターン
  可能性2: 電探係数によって命中率が変動するパターン
  検証3における係数逆算と考察のまとめ
検証1~3の全データによる補正係数逆算
いかがでしたか?





kancolle_20230806-210948976
1-6-Eマスにて展開された煙幕(検証中の様子)



おことわり

本検証は、一般的なブラウザを用いて目視で行いました。
そのため、ダメージ値を用いてクリティカルの判別を行うなどしています。
また、サンプルも各100出撃と確率検証にしては少なく、決して高精度とは言えませんが、自分の納得できるデータが取れれば満足というスタンスで調べていました(免罪符)ので、その点ご理解いただけると嬉しいです。
また、本記事の情報は2023/08/06までに行った検証に基づきます。

なお、煙幕の仕様の大事な部分は、既にぜかましねっとさんの記事が公開されているので、そちらを読んでいただくのが良いと思います。

本記事は、自身の行った検証を整理し、検証と考察の過程を読める形で残しておくために、検証中に考えていたこととその結果をまとめ直したものです。
以降だらだらと続きますが、お付き合いいただける方はどうぞよろしくお願いします。



背景

煙幕システムが実装されたのは2023春イベの最中でした。
同イベントでは、原子力潜水艦こと伊201&伊203にヤケクソのような特効が掛かっており、攻撃力はもちろん、命中面でも雷撃が必中になるほどの壊れっぷりでした。

kancolle_20230418-010149981
E6-4甲(クリア後)での伊203の後魚潜電カットイン。ボス装甲は303。

当時は煙幕の仕様が謎に包まれており、「砲撃も雷撃もマジで当たらね~」というレベルの認識だったように思います。しかし特効潜水艦の雷撃に限ってはそれなりに煙幕を貫通して命中打が確認されており、まさしく違法雷撃といった様相でした。

イベントが終わったので、煙幕検証に手を付けることにしました。
電探が命中率に影響するだろう、ということは煙幕実装時の運営告知から読み取れたので、とりあえず電探なしで命中項を大きく変化させてみようと思いました。
電探を積まずに命中項を大きく変化させる方法には以下のようなものがあります。

  • 装備命中や改修値の高い装備をたくさん積む
  • 弾着補正・空母カットイン補正・徹甲弾補正を活かす
  • キラ状態の艦娘を使う
  • 雷撃戦において、雷撃攻撃力を上げる([0.2 * 雷撃攻撃力] だけ上昇)
  • 対潜戦において、小型ソナーを搭載する(2 * 小型ソナー対潜値 だけ上昇)

当時は攻撃フェーズごとに補正が違うらしいということが明らかになっていなかったので、とりあえず一番安く調べられそうな対潜戦でデータを取ることにしました。



検証1 1-6-Eマス 対潜命中調査(電探なし)

まずは、煙幕による補正がどこにどれだけかかっていそうか調べました。
とりあえず、①命中項、②回避項、③命中率に対する加算や乗算、一定値への置換あたりを可能性として考え、得られた結果を尤もらしく説明できる補正の中で一番シンプルなものを採用しようという方針(この方針は今も変わっていません)でした。


検証1 ~内容~

下のような編成を用意して、海域1-6のEマスで100回戦闘を行いました。
戦闘データの採取は2023/05/13~2023/05/21にかけて行いました。

攻略編成_20230513-173659707

出撃先に海域1-6-Eマスを選定した理由は次の通りです。

  • 敵艦が低回避の2種類(カ級・カ級elite)のみで、データ整理が楽
  • 敵陣形パターンが1種類(梯形陣)のみで、データ整理が楽
  • 敵艦が3~5隻なので、先制対潜をそれなりに耐えて砲撃戦のデータも取らせてくれる
  • ルート固定が可能

こちらの艦娘の通常時の命中項(単横陣vs梯形陣)は、

  • 昭南改: 109
  • Fletcher改 mod.2: 110
  • 吹雪改二: 137
  • 綾波改二: 157
  • 敷波改二: 177
  • Ташкент改: 219

であり、
また、海域1-6-Eマスの回避項は、

  • 潜水カ級: 3
  • 潜水カ級elite: 13

なので、理論命中率は全ての敵艦に対して97%(命中率キャップ)となります。


検証1 ~結果~

検証結果は以下の通りとなりました。(報告ツイートスプレッドシート

検証1 結果
  • 戦闘回数: 100
  • 累計攻撃回数: 981
  • 累計命中回数: 346
  • 艦娘命中項加重平均: 157.4057
  • 敵艦回避項加重平均: 5.4261

艦別・発煙数別データは画像およびスプレッドシートをご覧ください。


検証1 ~考察~

この結果から、①発煙数と命中率の関係、②補正位置と補正量について考察しました。


発煙数と命中率の関係について

各項で十分なサンプル数を確保するため一旦攻撃艦の如何を無視し全てひとまとめにして、発煙数別の命中率をまとめると右のようになりました。

検証1 発煙数-命中率まとめ

この表と散布図から、

  • カ級とカ級eliteだとカ級に対しての方がよく当たっていそう
  • 発煙数によって命中率はそこまで変わらなそう(95%CIが被っている)

ということがいえそうです。
サンプル数が少ないため誤差範囲が広く、発煙数によって命中率に全く差が生じていないと断言するには不十分ではあります。
ただ、差はそこまで大きくなさそうだぞ、ということで、以後の考察は「発煙数が命中率に与える影響はない」と仮定して続けることにします。


補正位置と補正量について

次に、補正位置と補正量について考えました。

各艦娘ごとのサンプル数のばらつきを無視して、命中項をx軸に、実測命中率をy軸にとり、敵艦ごとにグラフを作成すると、以下のようになりました。

検証1 命中項-命中率まとめ

また、各敵艦と全体とで回帰直線の式はそれぞれ以下の通りとなりました。

  • 潜水カ級: y=0.002291x+0.004382 (相関係数 0.929)
  • 潜水カ級elite: y=0.003010x-0.174119 (相関係数 0.963)
  • 全体: y=0.002481x-0.041962 (相関係数 0.953)

命中項と実測命中率の間にはきわめて高い相関関係があることがわかります。

ここで、煙幕補正の位置を命中項への乗算及び加算のみであるとすると、
全体での回帰直線の傾きが0.002481なので、乗算部分は約0.25であると考えられます。
※ x軸の単位は整数、y軸の単位は%なので、補正値は傾きの100倍になります。

ところで、敵艦回避項加重平均は5.4261でしたが、切り捨てとキャップ処理を考えないとき、命中項0における仮想命中率は、
   0 - 5.4261 + 1 = -4.4261%
となりますが、これは全体の回帰直線のy切片 -0.041962 に対応づけられます。

以上より、煙幕補正を 命中項 * 0.25 程度と仮定することによって、命中項への加算補正や回避項・命中項への乗算・加算・置換処理がないと考えても実測値を説明できます。


検証1における考察のまとめ

検証1での考察をまとめると、以下のようになります。

  • 発煙数が命中率に与える影響は小さい。
  • 煙幕による補正は命中項への約0.25倍の乗算によって説明できる。

ちょうどこの検証のデータの採取をしていたころに、tataさんとThealliaさんの検証により、砲撃戦における煙幕補正は命中項への乗算で概ね説明できる(係数は電探ありで0.35程度、電探なしは命中下限で逆算値0.12以下)ことがわかってきていました。
砲撃と対潜で補正が違うなんて思わなかったので仕様の複雑さに困惑した記憶があります。現実における煙幕というものを考えれば、確かに水上と水面下とでは性質が異なっていても何ら不自然ではないのですが。

…ということもあり、以降の検証では、命中項への乗算をベースに考えています。



検証2 1-6-Eマス 対潜命中調査(電探あり)

次に、電探を積んでどれだけ命中率が変わるのか調べることにしました。


検証2 ~内容~

下のような編成を用意して、海域1-6のEマスで100回戦闘を行いました。
戦闘データの採取は2023/06/06~2023/06/16にかけて行いました。

攻略編成_20230606-145231703

こちらの艦娘の通常時の命中項(単横陣vs梯形陣)は、

  • 昭南改: 109
  • Fletcher改 mod.2: 110
  • 吹雪改二: 143
  • 綾波改二: 143
  • 敷波改二: 143
  • 夕張改二特: 215

であり、それぞれ電探を0~2個積んで命中率の差を見ようとしました。
特に、吹雪・綾波・敷波については、命中項を揃え、電探なしとありの差(吹雪と綾波)、電探の個数が及ぼす影響(綾波と敷波)の両方を考察できるようにしました。
これは余談なのですが、練度と運をほぼ同じくらいに揃えて育成した嫁を用意することで、命中項を揃えた検証が容易になるというライフハックがあります。かわいいですね。


検証2 ~結果~

検証結果は以下の通りとなりました。(報告ツイートスプレッドシート

検証2 結果
  • 戦闘回数: 100
  • 累計攻撃回数: 1021
  • 累計命中回数: 331
  • 艦娘命中項加重平均: 147.2184
  • 敵艦回避項加重平均: 5.0176

艦別・発煙数別データは画像およびスプレッドシートをご覧ください。


検証2 ~比較と考察~

命中項を揃えた各艦および夕張改二特について、結果を比較してみました。


Fletcher改 mod.2 の比較

Fletcherは検証1と検証2の両方で使っており、それぞれの装備は画像の通りです。

攻略編成_20230616-195532313

命中項はどちらも110で、実測命中率はそれぞれ以下の通りとなりました。

  • 電探なし: 22.67%(95%CI: 16.42% ~ 28.93%) 敵回避項 5.09
  • 電探あり: 26.40%(95%CI: 20.24% ~ 32.55%) 敵回避項 4.32
検証2 命中項110

電探ありの方が3.73%高い命中率を記録しました。
しかし、統計的に有意な差があるとまでは言えませんでした。


吹雪改二・綾波改二・敷波改二 の比較

攻略編成_20230616-200639391

次に、吹雪・綾波・敷波の実測命中率はそれぞれ以下の通りとなりました。

  • 吹雪改二 / 電探0: 27.59%(95%CI: 20.95% ~ 34.23%) 敵回避項 5.30
  • 綾波改二 / 電探1: 32.47%(95%CI: 25.88% ~ 39.06%) 敵回避項 5.47
  • 敷波改二 / 電探2: 34.54%(95%CI: 27.85% ~ 41.23%) 敵回避項 4.86
検証2 命中項143

電探を増やせば増やすほど命中率は少しずつ高くなりました。
とはいえ、95%CIは被っており、検証1の考察に基づく理論命中率も31~32%となるため、これも統計的に有意であるとはいえない差になってしまいました。


夕張改二特 の検討

攻略編成_20230616-201626229

夕張は高命中項領域における電探要員として入れたので、他艦との比較はできません。
命中率は以下の通りとなりました。

  • 夕張改二特 / 電探1: 47.31%(95%CI: 40.14% ~ 54.49%) 敵回避項 4.72

検証1の考察に基づく理論命中率は50.03%です。
これも有意な命中率変化とはいえず、なんなら理論命中率より実測値が低く出ました。


検証2における比較検討のまとめ

以上、3グループに分けて比較検討をしてきましたが、「電探の搭載による命中率の上昇は統計的に有意な差があるとはいえないほどで、具体的な補正量を論じることはできないが、補正量はあまり大きくないのではないか」というのが検証2での考察になります。

もし電探による影響があったとしても、この程度ならば電探以外にスロットを割くべきで、実運用上はこれでも困らないレベルであるとは考えていました。
とはいえこれで終わるのはなんかもやっとするので、追検証を行うことにしました



検証3 1-6-Eマス 対潜命中調査(電探あり・追試)

ということで追試です。
こうなったらめいっぱい電探を積んでやることにしました。


検証3 ~内容~

下のような2編成を用意して、海域1-6のEマスで100回ずつ戦闘を行いました。
戦闘データの採取は2023/07/17~2023/08/06にかけて行いました。

検証3 編成
昭南ちゃんに穴をあけたので機銃や爆雷を出し入れできるようになりました

今回は、夕張改二特のみ装備を変え、同艦のデータのみ採取しました。
他の艦娘は煙幕展開と敗北回避のために入れていました。たまに全ミスして負けましたが。

本記事の最初でも述べた通り、手作業のぬくもりに満ちた方法でデータを取っていたので、できるだけ出撃あたりのデータ入力作業の手間を減らしたかった… というのが本音ですが、どうせ全データ統合の係数逆算をするなら他の艦についての記録も取っておけばよかったと今になって思ったり思わなかったりしています。


検証3 ~結果~

検証結果は以下の通りとなりました。(報告ツイートスプレッドシート

検証3 結果
  • 戦闘回数: 200
  • 累計攻撃回数: 388
  • 累計命中回数: 114
  • 艦娘命中項: 145
  • 敵艦回避項加重平均: 5.1134

電探なしと電探ありとで、それぞれ以下の命中率となりました。


検証3 ~比較と考察~

実測命中率は以下の通りとなりました。

  • 電探なし: 29.47%(95%CI: 22.99% ~ 35.96%) 敵回避項 5.32
  • 電探あり: 29.29%(95%CI: 22.95% ~ 35.63%) 敵回避項 4.92
検証3 命中項145

パッと見ほぼ同じですが、それを計算によって示していきます。

電探込みでの煙幕下命中項を、未知の係数を用いた以下のような仮定式で表しました。
   煙幕下命中項 = 煙幕係数 * 通常命中項 + 電探係数 * 電探命中
   煙幕下命中率 = 煙幕下命中項 - 敵艦回避項 + 1
この式は今までの仮定式をもとにしています。
煙幕係数は命中項に直接乗算される係数で、電探なしで約0.25になるアレです。
電探係数は新たに設定した係数で、電探命中との積を命中項に加算します。
命中率の式については、逆算しやすくするために切り捨てとキャップ処理を省きました。

方針として、
 ①電探を積むと煙幕係数自体が変わる(煙幕係数>0.25、電探係数=0)
 ②電探係数があるため命中率が変わる(煙幕係数=0.25、電探係数>0)
の2パターンを考え、よりシンプルに説明できる方を採用する方向性で考えました。


可能性1: 煙幕係数自体が変わっているパターン

まずは、煙幕係数が0.25でなくなっている可能性について検討します。

先ほどの仮定式において、電探係数を0とし、命中項を代入すると、
   煙幕下命中項 = 煙幕係数 * 145
   煙幕下命中率 = 煙幕係数 * 145 - 敵艦回避項 + 1
となります。

実測命中率とその95%CIを代入して煙幕係数を逆算すると、

  • 電探なし: 0.233(95%CI: 0.188 ~ 0.278)
  • 電探あり: 0.229(95%CI: 0.185 ~ 0.273)

となり、どちらも0.25に近い値になります。また0.25はどちらの95%CIにも収まります。

また、電探ありで煙幕係数を0.30などと仮定すると95%CIを逸脱することがわかります。
よって、電探の搭載によって煙幕係数が変化している可能性は低いと考えます。


可能性2: 電探係数によって命中率が変動するパターン

次に、煙幕係数は0.25とし、電探係数を逆算してみます。

このとき、仮定式は次のように表せます。
   煙幕下命中項 = 0.25 * 145 + 電探係数 * 36
   煙幕下命中率 = 0.25 * 145 + 電探係数 * 36 - 敵艦回避項 + 1
したがって、電探の有無により生じる命中率差分(電探あり命中率-電探なし命中率)は、それぞれのデータを採取したときの敵艦回避項加重平均を同じとみなすと、
   命中率差分 = 電探係数 * 36
と表せます。

実際の命中率差分を代入して電探係数を逆算すると、

  • 電探あり95%CI下限-電探なし実測命中率: -6.52% よって、電探係数=-0.181
  • 電探あり実測命中率-電探なし実測命中率: -0.18% よって、電探係数=-0.005
  • 電探あり95%CI上限-電探なし実測命中率: 6.16% よって、電探係数=0.171

となり、逆算された電探係数はほとんど0になります。
したがって、煙幕係数が変わらないとき、電探係数は0であると考えます。


検証3における係数逆算と考察のまとめ

以上の係数逆算と考察をまとめると、以下のようになります。

電探装備時の対潜攻撃命中項は 命中項 * 0.25 + 0 で説明できる。
すなわち、電探の搭載による命中率の上昇は、無いかきわめて小さい。

煙幕展開下においても、敵水上艦を捕捉するための装備である電探では対潜攻撃の命中率に寄与できないということですね。こう書くと至極当たり前のことのように感じられる



検証1~3の全データによる補正係数逆算

ここまでの検証で、発煙数と電探の有無が命中率に与える影響はどちらも無いか、あるいは非常に小さいことがわかってきました。
ということは、全データをひっくるめて補正係数を逆算しても問題ないということです。

乗算補正のみで説明できそうだとわかっているので、仮定式は
   煙幕下命中項 = 煙幕係数 * 艦娘命中項加重平均
   煙幕下命中率 = 煙幕下命中項 - 敵艦回避項加重平均 + 1
とします。

全データを統合すると以下の通りとなりました。(報告ツイートスプレッドシート

全データによる逆算
  • 戦闘回数: 400
  • 累計攻撃回数: 2390
  • 累計命中回数: 791
  • 艦娘命中項加重平均: 151.0397
  • 敵艦回避項加重平均: 5.2008

となり、実測命中率は 33.10%(95%CI: 31.21% ~ 34.98%)です。
よって、煙幕係数は、0.247(95%CI: 0.234 ~ 0.259)と逆算されます
勘に従い0.05刻みで設定されているとすると、0.25が最も近くなります。



いかがでしたか?

本記事では、煙幕展開下における味方側対潜攻撃の命中率について考察しました。
要点は次のようにまとめられます。

  • 煙幕下の味方側対潜攻撃命中項は、0.25 * 通常命中項 と表せる。
  • 発煙数が命中率に与える影響は、無いか小さい。
  • 電探の有無が命中率に与える影響は、無いか小さい。

この結論から考えると、煙幕を展開して道中の対潜戦闘を切り抜けようとするのであれば、ソナーも電探も捨てて回避をお祈りするのが基本戦術になりそうですね。
仮に煙幕によって敵の攻撃命中率を下限キャップ付近まで落とせたとしても、的を減らせず敵の攻撃がいっぱい飛んで来てしまったら避けきれないかもしれません。対潜装備を積んで敵の攻撃本数自体を減らすのか、煙幕でスロットを圧縮するのか、どちらが良いか見極める意識を持っておきたいところです。






何かお気づきの点などありましたら、Twitterまでご連絡ください。
煙幕含め環境ががらりと変わった夏のイベントも頑張っていきましょう。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。


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2023年5月上旬に行った命中検証のまとめです。
普段あまり意識しないような状況を想定した検証で内容がややわかりにくいと思ったので、自分用の整理も兼ねて記事にしました。



【目次】
おことわり
検証に用いたデータ
クリティカル率逆転現象とは何か
 命中率とクリティカル率の関係
 命中率が十分に高いときの攻撃判定分布
 命中率が極めて低いときの攻撃判定分布
検証1 6-5-Aマス 赤疲労加賀 砲撃命中調査
 検証1 ~内容~
 検証1 ~結果~
 検証1 ~考察~
艦載機熟練度は煙幕を貫通するのか
検証2 6-5-Aマス 赤疲労加賀 砲撃命中調査(煙幕あり)
 検証2 ~内容~
 検証2 ~結果~
 検証2 ~考察~
いかがでしたか?





おことわり

本検証は、一般的なブラウザを用いて目視で行いました。
そのため、ダメージ値を用いてクリティカルの判別を行うなどしています。
また、サンプル数もそれぞれ100程度で、検証の精度はお世辞にも高いとは言えません。
自分が納得できるデータを取れれば満足というスタンスで調べていました(免罪符)ので、厳密性については保証できない部分があると思われます。
以上のことをご理解いただいたうえでお読みください。



検証に用いたデータ

検証に用いたデータと統計はこちらの スプレッドシート にまとめてあります。

本稿はこれについてだらだらと解説していく感じの記事になります。
なので、お急ぎの方はこのスプレッドシートを見て回れ右で全然オッケーです。
お付き合いいただける方はどうぞよろしくお願いします。



クリティカル率逆転現象とは何か

まずは、本稿タイトルの一部でもある「クリティカル率逆転現象」について説明します。


命中率とクリティカル率の関係

関数を次のように定めます。

  • int(x): xを最も近い整数に切り捨てる関数
  • sqrt(x): xの正の平方根を返す関数
  • MaxCap96(x): 命中率の上限キャップ関数(96より大きい場合96に置換する)
  • MinCap10(x): 命中率の下限キャップ関数(10より小さい場合10に置換する)
このとき、命中率とクリティカル率(クリ率)は以下の式に従うことがわかっています。
なお、詳細な式は 攻略Wiki - 命中と回避について を参照してください。
  • 命中率(熟練補正無) = MaxCap96(MinCap10(命中項 - 回避項) * 回避側疲労補正)
  • 命中率(熟練補正有) = 命中率(熟練補正無) + 熟練度命中補正
  • 最終命中率 = int(命中率(熟練補正有)) + 1
  • クリ率 = int(クリティカル定数 * sqrt(命中率(熟練補正有)) + 熟練度クリ率補正) + 1

命中率が十分に高いときの攻撃判定分布

命中率が十分に高いときの攻撃判定分布は以下のようになります。

命中分布模式図(高命中率)

空母の砲撃戦以外では熟練度補正を考えないため、上側のようになります。
すなわち、通常判定の発生率は命中項と回避項によって決まり、その平方根にほぼ比例する確率でクリティカルが発生します。

空母の砲撃戦では、熟練度補正を考慮する必要が出てきます。
熟練度によって命中率とクリ率の両方が上昇し、命中率は全スロット熟練度 >> なら+12%、クリ率は熟練スロ数に応じて(現環境では最大で+32%まで)上昇します。
命中判定のうち一部がクリ判定に置き換わるようにして確率が決まります。

なお十分に高いと書きましたが、普通に出撃している限りは大体このようになります。
昼砲撃戦の命中定数は一般に90でそれにレベルや運や装備の補正などが加わるのに対して、深海棲艦の回避項はナ級IIですらせいぜい70程度であるためです。


命中率が極めて低いときの攻撃判定分布

一方、命中率が極めて低いと、攻撃判定分布は以下のようになると考えられるはずです。
なお、今回の検証でこの図が間違っていることがわかりました。
後ほど正しい図を掲載しますので、どうか最後までお付き合いください。

命中分布模式図(低命中率 - 予想)

ここで「極めて低い命中率」というのは下限キャップ(命中率11%)付近を指します。
昼砲撃戦の場合、命中下限キャップのときクリティカル率は5%になります。
これを表したのが上の分布になります。空母の砲撃戦以外では命中率の平方根によってのみクリ率が決まるため、計算上特に問題は起きません。

しかし、空母の砲撃戦になると話が変わってきます。
熟練度補正は、命中率・クリ率ともに加算です。そして前項で述べたように、命中率補正はたかだか+12%にしかなりませんが、クリ率は最大+32%もの補正を受け得るため、「攻撃100回のうち命中するのはたった23回だが、クリティカルは39回も発生し得る」という訳の分からない計算結果が出てしまうのです。
攻撃を命中させないと発生し得ないクリティカルの確率が命中率を上回る、ということで、これを「クリティカル率逆転現象」と呼ぶことにしました。



検証1 6-5-Aマス 赤疲労加賀 砲撃命中調査

クリティカル率逆転現象が起き得る状況を設定して検証を行いました。


検証1 ~内容~

下のような編成を用意して、海域6-5のAマスで60回戦闘を行いました。
戦闘データの採取は2023/05/03~2023/05/04にかけて行いました。

攻略編成_20230503-232258343

この装備構成の加賀改二護は、単縦・赤疲労時の砲撃命中項が60です。

海域6-5-Aマスの敵艦隊の単縦回避項は

  • 駆逐イ級後期型: 51
  • 駆逐ロ級後期型: 53
  • 駆逐ハ級後期型: 55(海域ゲージがフルで残ってたので出現しませんでした)
  • 軽巡ホ級flagship: 49
  • 軽巡ヘ級flagship: 50
となっていて、
理論命中率は、軽巡ホ級flagshipのみ24%、それ以外が23%(熟練込下限)となります。
理論クリティカル率は、すべての敵艦に対して39%となります。

なお、龍鳳改二戊は敗北回避が目的だったので、特にデータは採取していません。
戦艦はLv.1~3のいわゆるバイト艦で、二巡化(データ採取効率の倍化)で入れていました。


検証1 ~結果~

検証結果は以下の通りとなりました。報告ツイート

検証1 結果
  • 戦闘回数: 60
  • 攻撃回数: 103
  • 命中回数: 44
  • 命中率: 42.72%(95%信頼区間: 33.17% ~ 52.27%)
  • クリ回数: 44
  • クリ率: 42.72%(95%信頼区間: 33.17% ~ 52.27%)

命中した攻撃のすべてがクリティカル判定でした。
また実測命中率はかなり高く、42.72%でした。
各敵艦への攻撃回数から求めた理論命中率は23.05%でしたが、実測命中率の95%信頼区間にこの値は含まれず、理論クリティカル率39.00%は含まれるという結果になりました。


検証1 ~考察~

検証1の結果から、以下のように考察しました。

クリティカル率逆転現象下では、クリティカル率が命中率を上書きして、最終命中率は理論クリティカル率に等しくなる。

このとき、先ほどお見せした攻撃判定分布は次のように修正できます。

命中分布模式図(低命中率 - 結果)

熟練度クリ率補正がクリティカル率を大きく引き上げたことで命中率より大きい値になり、結果的に通常判定が一切発生しない、全弾クリティカルの状況が発生するわけです。

なお、艦これ改式では、砲撃命中判定は以下のようになされるとされています。

  1. 0以上99以下の一様な整数乱数を生成する。
  2. 乱数が int(クリティカル定数 * sqrt(命中率)) 以下ならクリティカル判定とする。
  3. 上記以外で、乱数が 命中値 以下なら命中判定とする。
  4. 上記のすべてに当てはまらなければミス判定とする。

ただし、艦これ改の仕様は本家と必ずしも同じではない点には注意です。
しかし、もし同様の判定方法であると仮定するのであれば、2. のクリティカル判定の際に、乱数と int(クリティカル定数 * sqrt(命中率(熟練補正有)) + 熟練度クリ率補正) を比べている可能性が高いのかもしれないですね。
便宜上、「命中率を上書きする」という書き方をしましたが、実際にはクリティカル判定が先に行われているだけではないかということです。まぁこれはあくまで予想ですが。



艦載機熟練度は煙幕を貫通するのか

発煙装置(煙幕)

2023/04/23アップデートにて、深雪改二とともに煙幕システムが実装されました。
本稿を執筆している時点ではまだ実装からわずか2週間しか経っておらず、仕様についてはまだ煙幕に隠されている分からないことだらけというのが現状です。
本記事では煙幕のアレコレは説明しませんが、何がわかっていて何がわかっていないのかをわかりやすくまとめた記事を引用しておきます。

今回は、そんな謎多き煙幕システムのうち、艦載機熟練度は煙幕を貫通するのか、すなわち煙幕展開中の砲撃戦でも熟練度クリ率補正分だけ命中弾を得られるのか調べてみました。



検証2 6-5-Aマス 赤疲労加賀 砲撃命中調査(煙幕あり)

検証1と同じ状況を設定した上で、発煙装置(煙幕) を取り入れて検証を行いました。


検証2 ~内容~

下のような編成を用意して、海域6-5のAマスで60回戦闘を行いました。
戦闘データの採取は2023/05/05~2023/05/06にかけて行いました。

攻略編成_20230505-030037494

検証1との相違点は矢矧改二乙の有無のみです。
矢矧改二乙に「発煙装置(煙幕)」を3個持たせて煙幕が展開されるようにしました。

戦艦は3スロの艦と4スロの艦を採用していましたが、装備構成は 主砲/主砲/偵察機 または 主砲/主砲/徹甲弾/偵察機 とし、煙幕に関与すると考えられる電探は装備していません。
また、海域6-5-Aマスには電探持ちの敵艦が存在しないことも補足しておきます。


検証2 ~結果~

検証結果は以下の通りとなりました。報告ツイート

検証2 結果
  • 戦闘回数: 60
  • 煙幕展開回数: 60(発煙数1 : 発煙数2 : 発煙数3 = 35 : 15 : 10)
  • 攻撃回数: 111
  • 命中回数: 39
  • 命中率: 35.14%(95%信頼区間: 26.25% ~ 44.02%)
  • クリ回数: 39
  • クリ率: 35.14%(95%信頼区間: 26.25% ~ 44.02%)

命中した攻撃の全てがクリティカル判定でした。
実測命中率は検証1よりも約7.58%低く、35.14%となりました。

命中率まとめ

また、サンプル数100余りと確率検証にしては少なく95%信頼区間はまだまだ広いですが、検証1と検証2の信頼区間はそれなりに重複しています。


検証2 ~考察~

検証2の結果から、以下のように考察しました。

煙幕展開中の砲撃戦で、なおかつクリ率逆転現象が起きていた場合には、熟練度クリ率補正分だけ命中弾を得られる可能性が高い。
命中率またはクリ率へのデバフはあっても高々10%程度と考えられる。

ただし、何度も言ったようにサンプル数が少ないので断言はできません。
また、先の統計は発煙量(煙幕の濃さ)を考慮せず、煙幕が展開した出撃をごっちゃにして考えている点にも注意が必要です。サンプル数がまだ少ないので…。
ただ、信頼区間を2分の1に狭めるためにはおよそ4倍の試行回数が必要になってくるので、正直これ以上詰めないつもりでいます。ごめん。



いかがでしたか?

本記事では、クリ率逆転現象と煙幕展開下の空母砲撃命中率についてまとめました。
要点を再度おさらいすると、

  • クリ率逆転現象は、低命中率で熟練クリ率補正が大きいと起こる現象である。
  • クリ率逆転現象によってクリ率が命中率を上回ったとき、クリ率が理論命中率を上書きして最終命中率はクリ率に等しくなると考えられる。
  • 煙幕展開中も、熟練度クリ率補正分だけ命中弾を得られる可能性が高い。
    クリ率へのデバフはないか、あっても高々10%であると考えられる。
という感じです。

以上の結果から考えると、煙幕を使う編成で一方的に命中の理不尽を押し付けたいときには空母の開幕と砲撃が有効かもしれないということがいえそうですね。
ただし、この仕様はあくまでクリティカル率が底上げされたことによると考えられるので、空母全般が強いという勘違いには気をつけたいところではあります。あくまでも「熟練度のついた攻撃機をたくさん積んだ」から強いのです。真のMVPは艦載機熟練度でした。






何かお気づきの点などありましたら、Twitterまでご連絡ください。
皆さんのよき煙幕ライフをお祈りして結びといたします。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。


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突然ですが、あなたは「庇い」という仕様を理解していますか?
私はあまり理解できてませんでした。意外と庇いについての記事って多くないんですよね。
ということで、今回は「庇い」現象の基本と実践への知識活用をまとめておきます。

2021/03/02 初版。
2023/02/17 参照ページ及び狙われ率計算式、実例の庇い発生率を最新の情報に修正。



【目次】
1. 庇いって何?
2. 庇い発生率と狙われ率
 2.1. 庇い発生率
 2.2. 狙われ率
3. 庇いを剥ぐことの重要性
4. 庇いを剥がしきるために
 4.1. 割合ダメージによる削り
 4.2. 強力な打撃の重要性
5. まとめ





1. 庇いって何?

運営鎮守府のツイートによると、「随伴艦が稀に旗艦への攻撃の盾となる挙動」です。
システム的には、次のように説明できます。

攻撃対象に旗艦が選択されたとき、小破未満の随伴艦が代わりに攻撃被弾艦になる仕様

被弾艦が置き換わるだけなので、「盾になる」といっても必中ではありません。
どちらかというと「旗艦の攻撃を随伴艦が引き付ける」というイメージでしょう。
また、仕様として以下のようなものが存在します。

水上艦は水上艦にしか庇われない、潜水艦は潜水艦にしか庇われない
陸上型深海棲艦が旗艦の場合は庇われない 
動かないんだから当然といえば当然である

また、庇い発生時には旗艦部分にバリアのようなエフェクトが表示されます。

kancolle_20210302-225802549
庇い発生時のエフェクト




2. 庇い発生率と狙われ率


2.1. 庇い発生率

攻略wiki > 攻撃対象の選択 によると、通常艦隊における庇い発生率は以下の通りとされています。

単縦陣: 45%
複縦陣・梯形陣・単横陣: 60%
輪形陣・警戒陣: 75%


これは、「被弾艦に旗艦が選択された場合、そのうちどれだけの割合で庇われるか」を表しています。
単縦陣は特に庇われにくく、輪形陣は特に庇われやすく、他はその中間ぐらいということですね。
なお警戒陣については、主力艦選択時のタゲ再抽選があるので、本記事では考えないものとします。

ここで重要なポイントは、上述の下線部です。
この部分は、「被弾艦に旗艦が選択される確率が同じならば、庇い発生率は陣形によってだけ決まり、その確率は小破未満の随伴艦が何隻だろうと変わらない」ということを意味しています。


2.2. 狙われ率

以下の記述では、
艦隊は全て水上艦であり、小破未満ならば旗艦を庇うことができる
そもそも庇い非考慮時に各艦が被弾艦に選ばれる確率は同様に確からしい
ものとして考えていきます。

それぞれの状況において、各艦の狙われる確率は下表のようになります。
なお、それぞれの文字は
n: 艦隊の隻数
m: 庇いに参加できる随伴の数
p: 庇い発生率(0≦p≦1)
を表しています。
狙われ率の公式



3. 庇いを剥ぐことの重要性

ここからは実践編、庇いを剥ぐことの重要性についてです。
なお、随伴艦が庇いの被弾艦に選出されないように小破以上の状態にすることを、「庇いを剥ぐ / 剥がす」と表現することにします。

イベント最終海域など旗艦スナイプが求められる海域において、庇いを剥げるかということは非常に重要です。庇いの可能性が残っていると、「せっかく旗艦を一撃圏内まで削って強攻撃が狙ったのに無傷の随伴に庇われて撃破できなかった」という悲しいことが起きてしまうからですね。
では、実際に庇いを剥ぐことの有効性を数字で見てみましょう。
検証によれば、第四警戒航行序列の庇い発生率は60%なので、これを基に計算します。


[例] 2020年冬イベント E4-3甲 ラスダン
竹イベ庇い図解

ボス第一艦隊は実質オール姫級という超重量編成。はっきり言って異常だ
旗艦の深海竹棲姫は装甲365、随伴も全艦が装甲250以上の超高装甲艦で構成されており、高耐久も相まって昼戦で随伴を撃沈に持っていくことが困難で、スナイプが当たり前の難易度でした。
私はこのあと乙作戦に下げました

さて、上の画像は
1枚目: 随伴艦撃破数0、庇い発生可能性なしの6択スナイプ
2枚目: 随伴艦撃破数2、庇い発生可能性ありの4択スナイプ
のスクリーンショットです。
また、右側の表は、2.2. に示した式によって求まる狙われ率です。
なお小数点以下第3位を四捨五入した値を表示しています。

1枚目の6択スナイプでは、択数は多いですが、旗艦が庇われることがないため、ボススナイプ率は単純に6分の1で16.67%になります。
2枚目の4択スナイプでは、一見択数が少ないので旗艦撃破率が高そうに見えますが、4分の1で旗艦を狙い、かつ庇われないことも条件となるので、スナイプ率は10.00%と1枚目よりも低くなります。


このように、庇いを剥ぐことが敵の数そのものを減らすことよりも有効となる場合も存在しえます
そのため、庇いを剥ぐことは高難度海域を攻略するうえで強く意識すべきことだといえます。

なお、これは一発のスナイプに絞って考えた場合の話です。
当然ではありますが、敵艦を沈めればその攻撃ターンがなくなってこちらの手数が守られるので、撃沈の果たす意義は非常に大きいです。トドメ要員が多い場合はその方が有効だと考えられます。



4. 庇いを剥がしきるために

今回は仮想敵として、イベント最深部御用達になりつつある戦艦水鬼改(甲個体 / 耐久800 / 装甲285)を用います。次イベから出禁で頼む
戦艦水鬼改 ステータス


4.1. 割合ダメージによる削り

これだけ硬い艦になると、生半可な攻撃では装甲を抜くことすらできません。
装甲を抜けなかった(攻撃力が防御力を下回った)場合には、ダメージは割合ダメージ(カスダメ)となります。正確には被弾時耐久値に基づく乱数と小数切り捨て処理によって求まりますが、今回想定する小破未満の戦艦水鬼改は耐久が高いので、これを簡略化して

被弾後最低耐久 = 現在耐久 x 0.86(耐久-14%)
被弾後最大耐久 = 現在耐久 x 0.94(耐久-6%)

とみなします。
耐久max時点から小破に持っていくまでの必要カスダメ数を x 発とすると、
庇い剥ぎ 必要攻撃数
より、1.91発から4.65発のカスダメで小破に持っていけるとわかります。
特に、耐久減少期待割合を10%としたときは約2.73発のカスダメが必要とわかります。

連合艦隊同士の戦闘で閉幕雷撃6本を敵随伴に刺せればこれだけでカスダメ6発なので、庇いを剝ぐという観点から見ても無視できないものとなります。また、そのような状況に持っていくために、連合第二艦隊にとっての脅威である敵第二を開幕や砲撃でできるだけ処理することが非常に重要であるといえるでしょう。


4.2. 強力な打撃の重要性

前項で割合ダメージの手数を増やすことの重要性を挙げました。検討の通り、割合ダメージは庇いを剥ぐという点で見ると役割のひとつと数えることすらできるでしょう。

しかし、こちらの攻撃の最大回数は限られています。
連合艦隊戦で敵第一艦隊に攻撃を与えられる機会は、①全滅して手数になりにくい基地航空隊、②基地同様機会が確実でない航空戦、③戦果のブレが激しい支援艦隊、④本数の限られる開幕雷撃、⑤第一艦隊の砲撃最大12回、⑥第二艦隊の雷撃最大6回 です。
4.1. で検討した「庇いを剥ぐための手数」を2.73発としてきわめて単純に考えても、随伴5隻の庇いを割合ダメージだけですべて剥ぐには10手以上が必要であることは明らかです。

そこで、敵の装甲をしっかり貫く「強力な打撃」が重要になってきます。
なお、以下の攻撃力の計算には 作戦室 Jervis OR を利用しました。


[例1. 特殊砲撃]
長門改二 特殊砲撃威力
敵に痛打を与えるのに有効な方法として、長門陸奥などの特殊砲撃があります。
上の画像は、旗艦長門改二 / 二番艦陸奥改二 による特殊砲撃(一斉射)を行った場合のダメージです。
なお交戦形態は同航戦、自軍は空母機動部隊を想定しています。

通常時ダメージは203~373。確定で小破に持っていくことができます。
また、クリティカルを運よく2回当てれば撃沈が可能なほどの威力を持っています。


[例2. 特効艦]
サラトガ 特効攻撃
イベント海域における特効艦も、特殊砲撃と同様に痛打を与えるのに有効です。
画像は、空母機動部隊の同航戦、Saratoga Mk.II mod.2 にキャップ後1.5倍の特効補正がついている状況を想定したものです。クリティカル時の艦載機熟練度補正を最大限受けるために、攻撃機マシマシの構成になっています。3. に書いた2020年冬イベントE4-3ではこのような戦術が有効で、空母主体の艦隊で出撃するイベントでは今後もこのような戦術が考慮に入れられるのではないかと思います。

通常ダメージでは割合となってしまう可能性もありますが、クリティカルを引けば確実に小破にでき、ほとんどの場合は一発中破相当のダメージを与えることができます。


イベント中盤以降に海域最深部で追加される友軍艦隊でも、特効艦が編成されていたり、特定の旗艦などによるバフ効果(例: 2020年冬イベントE4-3での迅鯨旗艦→潜水艦への1.69倍バフ補正)があったりすれば、それも同様に強力な打撃となりえます。
なお、どの攻撃がもっとも優れているかなどは海域や装備の状況によって異なり、本題からも若干逸れてしまうのでここでは議論しないものとします。

庇いを剥がす、という観点で見ると、以上のような「強力な打撃」つまり一発で小破以上に持っていける攻撃は割合ダメージ3発分程度に相当することがわかります。また、これらの攻撃は多くの場合旗艦にも有効ですし、重巡ネ級改(耐久390 / 装甲255)クラスの敵であればワンパン撃破が見えてくるなど、非常に大きな意味を持っています。



5. まとめ

随伴艦の「庇い」について、重要な点をまとめると以下の通りとなります。

【庇いシステムの理解】
・庇いシステムとは、旗艦に飛ぶはずの攻撃を随伴艦が代わりに受けるものである
・庇い発生率は陣形に依存し、単縦陣が最も庇われにくく、輪形陣が最も庇われやすい
・庇い発生率は小破未満の随伴艦が何隻かに関係なく一定である

【庇いを剥ぐこと】
・庇いを剥ぐことは、ボススナイプ率を上げるうえで極めて重要である
・割合ダメージも庇いを剥ぐという点で有効なので、手数を多く維持するように心がけたい
・敵装甲を貫くような大ダメージは、随伴艦の庇いを剥ぐという観点からも有効である





以上で「庇い」システムのざっくりとした理解のための内容はおしまいです。
次のイベントで必殺の一打が旗艦に吸い込まれることとそもそも択数の多いスナイプを強いられる海域が実装されないことを願って結びといたします。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。


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